刹那

刹那



 私が食べられている。
 ものが、心の中に入ってきている。
 見られている。











 声が聞こえる。
 誰の?











 ・・・碇君?





















 そう。助けに来てくれたのね。













 ・・・?
 これは、何?























 私の心に入った使徒が、私の心が、碇君を望んでいる。
 これを、私が望んでいるというの?
 碇君と一緒になりたいの?

























 ・・・





























 “あなたは死なないわ。私が守るもの”





































 駄目。





















 駄目。
 私と一緒になったら、碇君が壊れる。
 それだけは駄目。
 碇君の代わりはいない。
 でも、私の代わりはいるから。
 だから、私が消えても、誰も寂しくない。
 









































 「あなたは」
 私?
 「あなたはどうなの」































 ・・・私は。




























 ・・・私、泣いているのね。
 そう、寂しい。





















 でも、この寂しさは誰にも言えなかった。
 言えば、みんなが困る。だから言えない。

















 違う。
 私は怖かっただけ。
 失うのが。
























































 ・・・何を?













































 光が、私を包んだ。
















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